労働条件・環境

過重労働新基準とブラック企業と認定された企業のその後は

●厚生労働省の新基準

厚生労働省の新基準は、「長時間労働に係る労働基準法

違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促す

ため、社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を

複数の事業場で繰り返している場合、都道府県労働局長が

経営トップに対して、全社的な早期是正について指導すると

ともに、その事実を公表する」というものとなっています。

1.【社会的に影響力の大きい企業】とは、

複数の都道府県に事業場を有している企業であって、かつ、

中小企業基本法に規定されている中小企業に該当しない

ものをいう。

※中小企業基本法は、業種別に資本金額等と従業員数を

基準に中小企業かどうかの定義を定めている。

2.【違法な長時間労働】とは、

労働時間・休日・割増賃金に係る労働基準法違反が認められ、

かつ、1か月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を

超えていることをいう。

3.【相当数の労働者】とは、

具体的には、1箇所の事業場において、10人以上の労働者

または当該事業場の4分の1以上の労働者において、

「違法な長時間労働」が認められることをいう。

4.【複数の事業場で繰り返している】とは、

概ね1年程度の期間に3箇所以上の事業場で

「違法な長時間労働」が認められることをいう。

●ブラック企業と認定された企業のその後は?

世間からブラック企業との認定を受けたワタミは、14年度の

新卒社員を予定の半数しか採用できず、業績も15年3月期の

連結の営業損失が20億円を超えるなどの影響を受けたといい

ます。

このように、世間からブラック企業と認定されることは、経営に

大きな悪影響を及ぼすものといえそうなのです。

中小企業は今回の新基準の適用から除外されるものの、例えば

従業員が過労死して遺族が訴訟を提起するなど、この新基準の

運用とは関係なく企業名が公にされるという可能性はあるでしょう。

大企業や中小企業の区別なく、企業には、労働環境の実態を

把握し、問題があれば改善していくという姿勢が求められていく

時代になっているのです。

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