腰痛が原因で休職していた従業員が休職期間満了で退職をしました。
退職後、しばらくすると腰痛になったのは、過重労働が原因だと労災申請をしたいと言ってきました。
勤務状況をみても長時間の残業が続いていたとはいうわけでもなく、むしろ同じ業務を行っていた従業員よりも労働時間は短いものとなっています。
労働時間からはみえない仕事上の重責があったとも思えません。
この場合、本人の申し立て通りに労災申請で事業主として証明をしなければならないのでしょうか?
●労災申請を拒否できるのか?
従業員の主張と会社の見解に相違がある場合には、労災請求に関する証明を拒否できるかどうかが問題となります。
通常、従業員が業務上の理由により病気になったり負傷した場合、本人が労働基準監督署に労災の請求書を提出します。
この時、請求内容について会社(事業主)の証明が必要となります。
本人の請求内容に相違がない場合には、事業主証明に応じることに問題はありません。
請求内容に会社が認識している事実と異なる内容が記載されていたり、会社の安全配慮義務違反に触れる内容が記載されている場合には、事業主証明を拒否する事ができます。
このとき、事業主としての意見書を用意し提出するようにします。
●実は事業主証明は必須ではない
労災保険の支給は、労働基準監督署が双方の事実を確認調査した上で決定するものですので、労災として認めるかどうかに事業主証明が必ずしも必要とされるものではありません。
真っ向から事業主証明ができないと拒否するのではなく、拒否する理由を本人に伝えた上で、労災請求そのものは行うように説明をします。
労働基準監督署が支給不支給を決定するにあたり、調査要請があった際には、誠実に対応しなければならないことは言うまでもありません。