ここ最近は、アベノミクスの効果が影響してか、企業の業績が回復するに相俟って急激に求人件数が上昇しております。
そしてこの傾向は全国的な様相を見せているようです。
先般発表された全国求人情報協会の求人件数は、前年同月比の21.5%増、都道府県別有効求人倍率も、東京1.62、愛知1.53、大阪1.13と1倍を超え、全国平均も1.1倍(前年は0.97)となっております。
都市部では確実に売り手市場になりつつあります。
人が集まらない、入社してもすぐに辞めていく、処遇や仕事の内容に不満があるとあっという間に転職する、と多く聞きます。
応募者は60歳オーバーばかりという惨状です。
報道を見ましても、ついには人手不足倒産の記事もでて、笑い事ではない状態に直面しているのも現実です。
さて、そんなニュースを齧ってばかりいても始まりません。
我々は長い間、デフレ経済下で過ごしてきていたため、買い手市場の状態に慣れ過ぎ、従業員に対して多少の無理を言っても辞められることはなく、厳しい労働条件を提示しても求職者は集まってきたものです。
それが当たり前のようになっていました。
しかしながら、このように売り手市場になりますと、労働条件が悪い、労働法軽視の企業はたちまち敬遠されるか、『出るところに出て』争うことになります(労働者にとっては、居辛くなっても次に行くところがあるから、心置きなく訴えられる)。
●給料を上げれば採用できるのか
では、給料をあげれば良いのか?というと、決してそうではありません。
現に、都内の都心部における某牛丼チェーン店や居酒屋チェーン店では、時給1,500~1,700円を提示しても慢性的な人手不足です。
つまり、この両店に共通しているのは『ブラック企業』とレッテルを貼られており、給料よりも労働条件を重視している証左でもあります。
もともと、給料とは「衛生要因」と言って、意欲向上には結びつかないものと経営の学問を齧った方は誰しもご存じであると思いますが、そうなのです。
給料を高めても、それにより一瞬は喜ぶでしょうが、決してモチベーションは上がらないのです。