靴販売会社であるABCマートが違法長時間労働により書類送検されたというニュースが流れました。
この事件は、厚生労働省が今年4月に設置した、ブラック企業を取り締まる特別チーム「過重労働撲滅特別対策班」(通称、「かとく」)による初めての書類送検ということもあり、注目を集めています。
今回は、ブラック企業の企業名の公表の新基準という点について説明して参ります。
●「かとく」について
具体的には、次の内容が特徴的です。
1.労働局は4月に「過重労働撲滅特別対策班」を設置。
大手企業を対象に調査を進めており、過重労働撲滅特別対策班による書類送検は初めてである。
2.労働局は過去にも同社の店舗で長時間残業が横行しているとして是正勧告をしたが、改善がみられないため、書類送検に踏み切った。
3.塩崎厚生労働大臣は、記者会見で、今般東京労働局の「かとく」が、その使命に応えるべく、積極的に対応して結果を第1号として出した、と述べています。
ブラック企業の企業名の公表について、厚生労働省は今夏より新基準を採用しています。
この新基準が採用される以前は、企業が長時間労働で法律違反した場合、労働基準監督署が是正を勧告し、勧告に従わない企業に限って書類送検し、社名が公表されておりました。
したがって、是正勧告に従ってさえいれば、度重なる是正勧告を受けたとしても企業名が公表されることはないということになるのです。
今回の厚生労働省の新基準は、違法な長時間労働を繰り返す企業が多いことに対処するために、是正勧告の段階で企業名を公表することができるものとなっている点は注目すべきです。