間もなく春闘の時期に突入し、新聞などでも連日のように、賃金関連の報道がされる時期がやって参ります。
企業業績が回復基調にあり、しかも、一昨年に続いて政府から賃上げ要請が出されるなど、賃上げ機運が高まっているところです。
昨今の春闘で特徴的なのは、ベースアップが議論の対象になっていることです。
●定昇とベースアップ
賃金改定には、定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)の2つがあります。
両者は全く別物ですので、区分するためにここで簡単に整理しておきます。
定昇というのは、毎年決まった時期に、賃金規定など所定のルールに則って賃金を改定することです。
1年たつと全員自動的に賃金を上げるという解説が新聞などでされていますが、それは誤りです。
以前はそういう会社が多かったのは事実ですが…。
今は、人事評価など何らかの賃金査定に基づいて個々の賃金を決めるのが主流だからです。
場合によっては上がらない、あるいは下がるということもありますので、その意味においては、「定昇」という言い方自体、不適切な気もします。
一方、ベアというのは、全員の賃金を何らかの方法で底上げすることです。
全員に「○○%」という率をかける、「○○円」と一定額を加えるといった方法になります。
この2つを組み合わせたり、年齢や階層によって率や額を変えたりといった方法を採ることもあります。
さて、「賃上げ機運が高まっている」と書きましたが、当然のことながら、個別企業の事情は様々です。
中小企業は、まだまだとてもというところが多くを占めているのが実情なようです。
しかし、「ウチはウチ」と、賃上げに背を向けてばかりもいられません。
働く人のモチベーションも上がりませんし、他社に人材が流出してしまうリスクもあるからです。