従業員の遅刻が多くて困っているので、遅刻をなくすために、「遅刻3回で、1回の欠勤とみなす」という規定を就業規則に明記し運用したいといった場合にどのような解釈がなされるのでしょうか。
実際に遅刻した時間以上に賃金をカットする場合には、労働基準法91条の減給制裁の制限が適用されます。
すなわち、厚労省の通達では、「労働の提供のなかった限度を超えるカットについて、賃金の全額払の原則に反し、違法である。」
「このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、法第91条の制限内で行う場合には、全額払の原則には反しないものである(昭和63年3月14日基発第150号)。」とされています。
労働基準法91条では、ご存知のように、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。」と規定されています。
遅刻3回をもって欠勤1日として1日分カットするということは、同法に従うと、減給制裁分0.5日分を3倍して1.5日分までカットできるところ、それを1日分の減給に留めるということですから、同法の制限内にあります。
したがって、「遅刻3回で、1回の欠勤とみなす」という規定を、減給制裁の規定として、就業規則に盛り込むのであれば、労働法上問題はないことになります。