●雇止めは困難
現在の労働裁判の判例の傾向からすれば、契約期間が満了したからといって、有期契約労働者にスムーズに退職してもらうことは簡単ではありません。
期間を区切って契約社員として採用し、期間が満了したときに会社側が更新しない扱いをする場合、有期契約労働者の側から契約の更新の拒否は、不当だとする主張を受けるケースが増えています。
しかも、判例では、有期契約労働者であっても、期間満了後に契約を更新してもらえることについて期待をもたせるような合理的な事情があれば、特に理由がない限り更新の拒否を不当と判断する例が増えています。
例えば、ほとんどの契約社員が更新されているのに、1人だけ更新を拒否されたというようなケースでは、その有期契約労働者が契約を更新してもらえることについて期待をもっても当然であるから、相応の事情がない限り会社側は更新を拒否できないと考える裁判所が増えています。
有期契約労働者との雇用契約を作るにあたっては、このような判例の傾向を踏まえたうえで、更新を拒否した場合もトラブルになりにくく、あるいはトラブルになった場合も、会社側として有利に交渉していけるような文言にする配慮が必要です。
●有期契約労働者の契約更新の判断基準は明確に
そこで特に大切なのは、厚生労働省が定めた「有期労働契約の基準」で、期間を区切って雇用契約を結ぶ場合には、契約の期間の満了後の更新の有無や、更新するかどうかの判断の基準をあらかじめ明確にしておかなければならないとされている点です。
このため、多くの会社では雇用契約書に更新の有無や更新するかどうかの判断の基準を記載しています。