パートタイマーなどに代表される非正規労働者に関しては次の3つの大きな課題があると言われています。
(1)雇用が不安定
総務省の「就業構造基本調査」(平成29年)によると、非正規労働者の労働者の就業期間は約4割の者が「3年未満」となっており正社員に比べて非常に不安定な雇用状態であることがわかります。
不安定な雇用環境では、業務スキルのアップや仕事へのモチベーションを高めることが難しくなるのは当然です。
より安定的な雇用環境の整備が求められています。
(2)賃金が安い
一般的に非正規労働者は、昇給がなかったり、あっても不定期で正社員に比べて少ないことがほとんどです。
また、賞与や退職金も対象外となっていることが多く、年齢が高くなればなるほど、正社員と賃金格差がついてしまう傾向にあります。
もちろん、企業経営をするうえで人件費負担の軽減は重要な問題ですが、一方で全労働者の3割以上を占めるまでになっている非正規労働者のこの賃金水準は、社会全体の課題であるといえるでしょう。
(3)キャリアビジョンが描けない
(1)(2)に関連する課題ですが、雇用が不安定で、賃金も少なく、そして単純な労働が多い非正規労働者を続けていると、自らの職業人としてのキャリアが描くのが難しくなります。
パート・アルバイトへの教育は基本的業務遂行のための導入教育は比較的多くの企業で行われていますが、専門スキルを伸ばす教育などについては、多くの企業はそれほど真剣に行っているとはいえません。
単純労働ばかりで、自らのキャリアを描けない働き方を続け、職業スキルが高まらないまま中高年を迎える労働者が増えることは日本全体にとって大きな課題といえます。
以上のような点が非正規労働者の現状と課題ですが、逆に言えば、上記のような課題を解決できる労働条件や就業環境を準備することができれば、よりよい人材を雇用することができ、企業業績のアップにつなげていくことができると考えられます。