パートなどの賃金は、個別に契約した時の時給がそのまま何年も運用されているといったこともよく見られますが、余りよくありません。
パートなどのモチベーションを維持しつつ、人件費管理が中長期にわたりできるように、以下のような点を検討しつつ、自社で運用可能な制度設計をしていく必要があります。
●時給か日給か月給か
これは、職種や勤務時間により判断がわかれますが、よほど定まった時間での勤務をするパート以外は、やはり時給がよいでしょう。
時給を決定するにあたっては、まずその地域の同業他社の時給を参考にしなくてはいけません。
求人誌やハローワーク、インターネットでの求人サイトなどを調べれば簡単にその水準を調べることができます。
基本的には、同地域、同業種と同じ水準で時給を決定するべきです。
時給を高くしたからといって、パートなどの場合はそれだけよい人材や会社が必要とする技術、能力をもっている人が集まるとは限りません。
特別な技能や資格がある人のみを求めるのなら別ですが、会社で教育することを前提に、まずはルーティンの仕事に就いてもらうのであれば、ある程度応募がくる水準の時給を設定し、その後の努力しだいで時給が上がる仕組みを示すことが重要です。
●昇給の有無
パートなどでも、時給に意味を持たせることは重要です。
では、どのように昇給をさせるべきでしょうか。
あまり複雑になりすぎるのはよくありません。
パートなどに賃金制度を導入している企業の多くは、
以下の3つの賃金を自社の考え方や状況に沿って組み合わせ、昇給(場合によっては降給も)をさせていく仕組みをとっています。
1.基本給
主にその職場での経験・勤続年数によって決定します。
もちろんスタートはみな同じ額からです。
その職場に長くいれば、それだけできる事も多くなり貢献度も上がってくるだろうという考え方から、一定期間で昇給を行うようにします。
ただし、上限は設定しておきます。
2.役割(役職)手当
明確な役割を与えた者に対しては、その責任に応じた手当をつけるようにします。
例えば、チームリーダーや副店長の仕事をする場合です。
この手当はその人が職場の中で「ある地位についてその責任を持つ」ということになるわけですから、時給をアップするという方法以外に、1か月固定で一定の額を手当として支給する方法もあります。
3.技術(職能)手当
その職場で役にたつ特別な技術を習得した人に時給に上乗せする形で支給します。
例えば、スーパーの鮮魚売り場で魚がおろせる、精肉売り場で肉のスライスができる、開店・閉店の作業がすべてできる、などです。みんなをまとめていくリーダーには向かないが、職場で必要な技術をもっている人にやる気を出してもらうためのものです。
もちろん、リーダーなどで役職手当がついている人でも、技術があれば支給します。
1.については、基本的に下がることはなく、半年や1年の評価に応じて決められた昇給基準で時給をアップさせていきます。
2.3.については、試験の実施や人事異動、役割の見直しなどにより該当した者に手当をつけるようにします。
よって、少なくと半年に1度程度はパートなどの担当職務、役割などの見直し・再確認を実施するといいでしょう。
そしてもちろんやる気と能力のあるパート労働者などには「正社員登用」の道を示しておく必要があるでしょう。
家庭の事情などで短時間しか働けないと言った人も少なくないのも事実です。
そういった方々のモチベーションと能力を引き出すことは、今後の企業の成長のためには不可欠なものだと思うのです。