労働・残業問題

パワハラ被害 労働基準法違反で訴えてやる

パワーハラスメント(パワハラ)は、職場での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為を指します。以下に、パワハラに関する法的な側面をまとめました。

パワハラと労働基準法

労働基準法にはパワハラに関する規定がなく、労働基準監督署が企業を指導することはできません。労働基準法は労働者を守るための基準を設定し、違反する使用者への罰則を定める法律です。

パワハラと刑事責任

パワハラが犯罪行為であれば、刑罰の対象となります。例えば、暴行罪や傷害罪、名誉棄損罪、侮辱罪、脅迫罪、強要罪などが該当します。警察は、犯罪に該当する可能性があれば対応します。

パワハラと民事責任

パワハラの被害者は、加害者に対して民事上の責任を追及することができます。具体的には、損害賠償の請求が可能です。損害には、治療費や欠勤による収入の減少、精神的な損害(慰謝料)などが含まれます。

加害者への損害賠償請求

民法709条に基づき、故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した者は、損害賠償責任を負います。過失による損害でも、加害者は責任を負います。

会社への損害賠償請求

民法715条1項に基づき、会社は被用者(従業員)が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。被害者は、加害者に対しても会社に対しても損害賠償を請求できます。

役員への損害賠償請求

会社法429条1項に基づき、役員が職務を行う際に悪意または重大な過失があった場合、役員は第三者に生じた損害を賠償する責任を負います。社内でパワハラが発生し、有効な対策を行わなかった場合、役員に責任が追及されることがあります。

まとめ

パワハラによる被害が大きい場合、個人よりも資力のある会社に対して損害賠償の請求が行われることが増えています。会社が多額の賠償請求に耐えられない場合、被害者が社長や取締役の責任を追及するケースも増えています。

パワハラに限らず、ハラスメントが発生している場合、放置することは非常に危険です。企業としては、未然に防止するための対策を講じることが重要です。

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