有期労働・非正規労働

議論が進むパート・有期雇用労働者の待遇格差是正に向けて

パートタイム・有期雇用労働法により、正社員とパートタイム・有期雇用労働者の間で、不合理な待遇格差を設けることが禁止されています。 この法律は、2020年4月1日から施行されており、同一企業内で働く労働者間の待遇差について規定しています。

パートタイム・有期雇用労働法の改正に関する議論は、2025年に労働政策審議会の同一労働同一賃金部会で活発に行われています。現行法の施行から5年が経過したことを受けて、2025年2月から見直しの議論がスタートし、賃金や待遇差の合理性のさらなる厳格化や説明義務の強化、公正な評価の推進などが検討されています。​

今後のスケジュールとしては、2025年内に見直し項目を固め、2026年以降に国会提出・審議が行われる可能性が高いとみられています。実際の改正施行は、2027年度以降になる見込みで、労働市場の公平性を高めることを目的とした重要な改正となる見通しです。

働き方が多様化する現代において、正社員以外の雇用形態で働く人々の待遇格差が社会的な関心を集めています。とりわけ、パートタイム労働者や有期雇用労働者に対する不合理な待遇差は、法的にも規制の対象となっています。この記事では「パートタイム・有期雇用労働法」に基づく不合理な待遇格差の禁止について、具体例を交えながら解説します。

企業に求められる説明義務とは?

企業は、労働者から待遇差について説明を求められた場合、その内容と理由を明確に伝える義務があります。これは単なる形式的な対応ではなく、合理性に基づいた説明が求められる重要な責任です。

合理的な説明には、以下の3つの要素を考慮する必要があります。

  • 職務内容:業務の種類や責任の重さ
  • 配置変更範囲:転勤や昇進などの人材活用の仕組み
  • その他の事情:企業の制度設計や将来的な役割期待など

これらを踏まえた説明ができない場合、待遇差は「不合理」と判断されるリスクが高まります。

待遇格差が不合理かどうかは、具体的な事例を見れば理解しやすくなります。以下に代表的な項目ごとに、不合理な例と合理的な例を紹介します。

基本給の違い

  • 不合理な例:同じ営業職で同等の成果を上げているにもかかわらず、正社員には能力給を支給し、パート社員には支給しない。
  • 合理的な例:転勤の可能性や将来的な役割期待に応じて基本給に差を設ける(制度設計が明確であることが前提)。

賞与の支給

  • 不合理な例:会社の業績への貢献が同等であるにもかかわらず、正社員にのみ賞与を支給。
  • 合理的な例:貢献度に応じた賞与の支給差。ただし、貢献度の算定方法が明確である必要があります。

各種手当

  • 不合理な例:同じ危険作業や深夜勤務に従事しているのに、正社員にのみ手当を支給。
  • 合理的な例:転勤の可能性がある正社員に住宅手当を支給するなど、雇用形態ではなく実態に基づいた区別。

福利厚生

  • 不合理な例:同じ食堂を利用しているにもかかわらず、正社員は無料、非正規社員は有料。
  • 合理的な例:長期勤続を前提とした退職金制度を正社員のみに適用するなど、制度の目的に応じた区別。

教育訓練

  • 不合理な例:同じ職務内容であるにもかかわらず、正社員にのみ教育訓練を実施。
  • 合理的な例:将来の幹部候補として正社員に管理職研修を行うなど、キャリア形成に基づいた区別。

説明時に企業が留意すべきポイント

労働者から待遇差の説明を求められた際、企業は以下の点に注意する必要があります。

  • 差の内容を具体的に説明する
  • 差を設けた理由を明確に伝える
  • 職務内容や配置変更範囲など、客観的な要素に基づいて説明する
  • 書面での説明が望ましい(義務ではないが、トラブル予防に有効)

これらの説明が不十分な場合、待遇差が不合理と判断される可能性が高まります。企業は自社の待遇体系を定期的に見直し、合理性のない差については速やかに是正することが求められます。

まとめ(公平な職場づくりの第一歩)

パートタイム・有期雇用労働法は、すべての働き手が納得して働ける環境を整えるための重要な法律です。企業は単に法令を遵守するだけでなく、働く人々の納得感や信頼を得るためにも、待遇差の合理性を丁寧に説明し、必要に応じて制度を見直す姿勢が求められます。また、大企業では正社員の処遇が手厚いため、非正規との格差が大きくなりやすいとも言われ、中小企業では業務の実態が近く、制度もシンプルなため格差が小さいとの実態であるようだ。

「同じ仕事をしているのに、なぜ待遇が違うのか?」という疑問に対して、企業が誠実に向き合うことこそが、持続可能な職場づくりの第一歩となるのです。

 

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