有期雇用契約者の契約が自動更新になっており、契約書が更新されていないといったことをよく耳にするので、なぜ危険なのか詳しく申し上げたいと思います。
無期転換のリスク
有期契約者が契約上、自動更新などとなっていれば実質的に無期化してしまっていることになるため、「雇止め」ができる有期契約者という対応ができなくなります。これは企業にとって大きな法的リスクとなります。
有期雇用者の代表格である以下の労働者について
- パート、アルバイト
- 嘱託
- 派遣労働者
- 期間工
これらの有期雇用契約を解除したい場合、単純に「雇止め」という訳にはいかなくなり、正社員などの期間の定めのない(無期雇用)者に対する「普通解雇」という難しい課題として認識、対応しなければならないのです。
普通解雇の困難さ
最近の解雇の法律上の制限や判例から、仕事の能力や協調性が無いということで「普通解雇」を認められる事例は非常に少なくなっています。裁判所は労働者保護の観点から、解雇に関して厳格な判断を下す傾向にあります。
企業側には「解雇権濫用法理」が適用され、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。その結果、「普通解雇」は安易にできないものとなっています。
有期雇用のメリット喪失
このような状況では、有期雇用契約のメリットが大幅に減少してしまいます。本来、有期雇用は企業の業務量の変動や特定プロジェクトの完了に合わせて柔軟に雇用調整ができるという利点がありますが、無期化してしまうとその柔軟性が失われます。
適切な契約管理の重要性
後々問題を起こさないためにも、雇用契約書には更新の有無を明確に記載しておくことが不可欠です。労働契約法では、有期雇用契約の締結時に更新の可能性について明示することが義務付けられています。
更新がある場合は、以下のいずれかを明記することが必須
- 「自動的に更新する」
- 「更新する場合がある」(その判断基準も明記)
- 「更新しない」
また、契約期間満了の際には、更新または満了の意思確認を書面で行い、両者の合意を明確にしておくことが重要です。
労働契約法の「5年ルール」への注意
特に注意すべきは、労働契約法第18条の「無期転換ルール」、所謂「5年ルール」です。同一の使用者との間で有期雇用契約が更新されて通算5年を超えると、労働者は無期転換の申込みをする権利を得ます。この申込みがあった場合、企業は拒否することができません。
適切な契約管理を行うことで、企業は法的リスクを軽減しつつ、必要に応じた柔軟な雇用形態を維持することができます。
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