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健康保険組合とはどのような組織なのか

全国の派遣社員やその扶養家族約48万6千人が加入する「人材派遣健康保険組合」が、2023年度いっぱいで解散する方向で検討していることが明らかになりました。解散後は、中小企業向けの「協会けんぽ」へ加入者が移行する見込みで、これは協会けんぽ発足以降、最大規模の移行人数となります。

以下では、健康保険組合の概要とそのメリットについて整理し、解散の影響について考察します。

健康保険組合とは

健康保険組合は、事業所や業種ごとに設立される法人で、従業員やその家族の健康保険業務を行います。大企業では親会社が主体となり設立されるケースが多く、グループ全体で高品質なサービスを提供するのが特徴です。一方、中小企業では同業種で集まり設立されることが一般的です。

設立には厚生労働大臣の認可が必要で、一定規模以上の従業員が集まることで初めて設立が認められます。

健康保険組合のメリット

保険料率の低さ

健康保険組合は、国の健康保険よりも保険料率が低く設定される場合があります。財政状態が良好な組合では、さらに低い保険料率を実現することで、企業と従業員双方にメリットをもたらします。

福利厚生の充実

組合独自の福利厚生が充実している点も大きな魅力です。保養所の利用やスポーツジム、アミューズメント施設の優待サービスなどが提供される組合もあります。

手厚い保険給付

通常の給付に加え、付加給付があるのも特徴です。例えば、出産時に支給される出産育児一時金に上乗せ金額を支給する組合もあり、生活支援に寄与しています。

解散による影響

健康保険組合が解散した場合、加入者は協会けんぽに移行しますが、保険料率の上昇や福利厚生の縮小が懸念されます。これにより、従業員やその扶養家族の生活に負担がかかる可能性があります。また、協会けんぽへの大規模移行により、国民負担が増加する点も課題です。

次回は、健康保険組合が解散に至る背景や、組合運営における課題、解散による具体的なデメリットについて詳しく解説していきます。

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