NRI(野村総合研究所)が示す「未来の働き方」と企業の備え
日本の将来の働き方を考えるうえで、避けては通れないテーマがあります。それは、「人工知能(AI)やロボットによる仕事の代替」です。
株式会社野村総合研究所(NRI)がまとめた推計によると、日本の労働人口の約49%が、技術的にAIやロボットに代替される可能性があるという結果が示されました。
本記事では、PDF資料の内容を丁寧に読み解きながら、
・仕事の代替可能性の現状
・今後の人材戦略
・企業が今すべき対応
という視点で見ていきます。
※この記事では、NRIによる「職業ごとの代替可能性」の調査(601職種分析)を参考にしています。

AI・ロボットが仕事を奪うというより「変える」
技術的な代替可能性とは、単に「ロボットが人間の仕事を奪う」という意味だけではありません。
AIやロボットが技術的にその業務の一部分または全部を担える可能性があるかどうかを示す指標です。
NRIの共同研究では、英国オックスフォード大学のマーティン・スクールと連携し、601種類の職業についてAIやロボットが代替できる確率を試算しました。
その結果
なんと約49%の仕事が、技術的にはAIやロボットで遂行可能
という推計が出ています。
これは単に数字上の予測にとどまらず、我々の働き方そのものが変わる可能性を示す重要な示唆です。
どんな仕事が「代替可能」とされたのか
NRIの分析では、AIやロボットによる代替可能性が高い職業と低い職業が分類されています。
代替可能性が高い仕事には「大量のルーティン作業や規則的処理が多い仕事」が含まれていました。
例えば
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一般事務・経理事務
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データ入力や伝票処理
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銀行窓口係
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受付や接客の定型業務
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製造現場の単純作業
といった職種です。
これらは機械学習モデルや自動化技術によって、一定の精度で機能が置き換えられる可能性が高いと考えられています。
一方で、代替可能性が低い職種として挙げられているのは、次のような業務です。
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クリエイティブ領域(コピーライター、デザイナーなど)
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人間同士のコミュニケーションや意思決定が重要な職種
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高度な判断や社会的洞察が必要な専門職
これらはAIによる補助は可能でも、完全な置き換えが困難とされている職種です。
なぜ日本で高い代替可能性が示されるのか?
日本の労働構造には、次のような特徴があります。
■ ルーティン作業の割合が高い
長年にわたり、事務処理や定型業務が企業内に根付いてきた結果、コンピュータ化や自動化のしやすい業務が多い傾向があります。
■ 少子高齢化による労働力不足
人口減少と労働力人口の減少が進む日本において、AIやロボットの活用は成長産業化の鍵ともなっています。
■ 労働分断の進行
技術が進化するにつれ、単純作業と高付加価値業務の格差が広がりやすい構造です。
NRIの分析では、こうした背景から「技術的に代替可能と考えられる労働人口が大きい」と推計されています。
人材戦略の見直しが求められる時代へ
この推計結果は、企業にとって「危機」でもあり「機会」でもあります。
AIやロボットの導入を恐れるのではなく、組織としてどのように活用し、人材価値を高めるかが重要になります。
具体的には次のようなポイントが挙げられます。
■ ① AI・デジタルスキルの育成
今後は単純な作業だけでなく、データ分析・AI活用のスキルが求められる時代です。
社員教育や人材育成計画に「デジタルリテラシー」を盛り込むことが急務となっています。
■ ② ルーティン業務の自動化
データ入力や帳票処理などは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIによって効率化が進んでいます。
これにより、社員はより付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。
■ ③ 組織文化の変革
単純作業の自動化は、働き方そのものの再設計を促します。人間にしかできない創造的活動や判断を軸とした業務設計が重要です。
代替可能性は「脅威」だけではない
AIやロボットによる代替可能性が高いという指標は、必ずしも全ての仕事が失われることを意味するわけではありません。
むしろ、AIの力を借りることで、次のような成長につながる可能性もあります。
■ 新たなビジネス価値の創出
AIによる大量データ分析が可能になることで、これまで見えなかった洞察が得られます。
■ 業務効率と生産性の向上
定型作業がAIに置き換わることで、社員の時間をクリエイティブな業務へシフトできます。
■ 競争力の強化
AIを使いこなせる企業は、データドリブンな戦略を描けます。
このような視点は、実際にNRI自体が生成AIやデータ活用の未来予測を行っていることとも整合性があります。NRIは、生成AIの利用が今後さらに拡大し、人間とAIの協働高度化が進むと予測しています。
まとめ:AI時代の「未来の仕事」とは
NRIの推計によると、日本の労働人口の約49%の仕事が技術的にはAIやロボット等に代替可能とされています。
しかし、代替とは「人間が不要になる」ことではなく、「役割の変化」を意味します。単純作業はAIに任せ、人間はより創造的で意思決定を伴う仕事にシフトするこれが未来の働き方像です。
企業は今からAIと共存できる組織設計、人材育成、業務プロセスの変革を進めることが求められています。AI時代における「働き方の再設計」は、すでに始まっているのです。

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