労働者派遣・請負

在留資格「技術・人文知識・国際業務」における派遣就労の申請厳格化へ

外国人材活用の拡大と派遣就労の位置づけ

政府は2024年から2028年度までの5年間で、特定技能外国人の受入れ見込数を従来の2倍以上となる約82万人に設定しました。さらに、長年批判のあった技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とした「育成分労制度」への移行が決定しています。

わが国では少子高齢化の進行に伴い、企業の人手不足が深刻な課題となっています。そのような状況の中で、専門的知識や技能を有する外国人材の活用は、企業経営において重要な選択肢となりつつあります。特に在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、IT技術者や通訳・翻訳、営業企画など多様な職種に対応できることから、外国人雇用の中核的な在留資格として広く利用されています。

近年では、こうした外国人材を派遣形態で活用したいという企業ニーズも高まっています。業務の繁閑に応じて柔軟に人材配置を行うことができる点は大きなメリットですが、その一方で在留資格制度との関係においては慎重な対応が求められます。派遣就労は直接雇用と比較して就労実態が見えにくく、制度の適正運用が重要なテーマとなっているためです。

派遣形態での就労に関する基本的な考え方

在留資格「技術・人文知識・国際業務」を有する外国人が派遣形態で就労する場合、最も重要となるのは、従事する業務が専門的・技術的分野に該当するかどうかです。この在留資格は、大学等で修得した知識や専門的技能を活用する業務を前提としており、単純作業や資格外活動に該当する業務は認められていません。

また、派遣形態では雇用主である派遣元企業だけでなく、実際の就労場所となる派遣先企業の業務内容や受入体制も審査の対象となります。申請にあたっては、派遣契約の内容や職務内容を具体的に示す必要があり、業務範囲が曖昧な場合には許可が得られない可能性もあります。さらに、派遣契約期間に応じて在留期間が判断されることもあるため、人材配置計画との整合性を図ることが重要です。

審査のポイントと企業が準備すべき事項

派遣就労に関する在留資格審査では、提出書類の形式的な整備だけでなく、実際の就労内容についても詳細な確認が行われる場合があります。入管当局は必要に応じて派遣元企業や派遣先企業に問い合わせを行い、業務の実態や指揮命令関係について確認することがあります。

このため企業は、雇用契約書や派遣契約書、職務記述書などを整備し、外国人が専門性を発揮できる業務に従事することを客観的に説明できる体制を構築しておく必要があります。また、派遣先が未定の状態での申請は認められない可能性があるため、採用計画と派遣先の確保を同時に進める実務対応が求められます。

派遣元企業に求められる管理体制

外国人材を派遣形態で活用する場合、派遣元企業には適切な在留管理を行う責任があります。具体的には、外国人本人および派遣先企業に対して在留資格の活動範囲を周知し、資格外活動や違法就労を防止するための教育・指導体制を整備することが必要です。

また、入管当局による調査や資料提出の要請に対応できる管理体制を整えておくことも重要です。派遣先の変更や業務内容の変更が生じた場合には、在留資格との適合性を再確認し、必要に応じて契約内容の見直しや追加手続を行うなど、継続的な管理が求められます。こうした対応は企業のコンプライアンス体制の強化にもつながります。

派遣先企業の役割と実務上の注意点

派遣先企業においても、外国人材の受入れにあたっては制度理解が不可欠です。外国人が従事する業務が専門性を要する内容であるかを確認し、業務範囲を逸脱する指示を行わないよう注意する必要があります。現場では繁忙期対応などを理由に業務内容が拡大するケースも見受けられますが、在留資格の範囲を超えた業務は違法就労につながるおそれがあります。

そのため、職務内容を契約書や業務指示書に明確に定めるとともに、入管調査への協力体制を整備しておくことが重要です。派遣先企業が制度理解を深めることは、結果として企業全体のリスク低減にも寄与します。

今後の外国人雇用実務の方向性

外国人材の活用は今後さらに拡大していくことが見込まれます。派遣形態での雇用は柔軟な人材活用を可能にする一方で、在留資格制度との適合性を確保するための高度な労務管理が求められます。企業は採用段階から業務設計、契約管理、就労実態の把握に至るまで、一貫した管理体制を構築する必要があります。

人事労務担当者は制度改正の動向にも留意しつつ、外国人材が能力を発揮できる環境整備と適正な在留管理の両立を図ることが重要です。これにより、企業の持続的成長と多様な人材活用の実現につながると考えられます。

まとめ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」による派遣就労は、企業にとって有効な人材活用手段である一方、制度理解と適切な管理が不可欠です。派遣元・派遣先双方が責任を持って就労環境を整備し、専門性を活かした適正な雇用を実現することが、外国人材活用を成功させる鍵となるでしょう。

【参照:出入国在留管理庁 在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱い
について 】

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