2020年4月1日施行 改正労働者派遣法関係

派遣労働者の公正な待遇の確保

(1)待遇に関する情報提供義務 義務 提供なき場合は派遣契約禁止
(2)派遣労働者の均衡待遇規定(派遣先均等・均衡方式) 派遣元は(2)or(3)を選択義務 
(3)労使協定による派遣労働者の待遇確保(労使協定決定方式)
(4)職務内容等を勘案した賃金の決定 努力義務
(5)就業規則作成・変更時の意見聴取 努力義務
(6)待遇についての説明義務の新設 義務
(7)派遣先による適正な派遣就業の確保等 配慮義務
(8)紛争の解決 努力義務

(1)待遇に関する情報提供義務

派遣先になろうとする者に対し派遣元事業主への次による情報提供の義務付け
⇒ なき場合は派遣契約締結禁止

■情報提供の時期
①労働者派遣契約締結の前
②提供した情報を変更した場合は遅滞なく(派遣契約終了前1週間以内の均等・均衡待遇の確保に影響がないものとして派遣契約で定めた軽微な変更を除く)
※均等待遇:同一の待遇、均衡待遇:バランスの取れた待遇

■情報の内容 派遣労働者が従事する業務ごと、ア・イの区分ごとに※比較対象労働者に係る以下の情報
⇒ 書面交付等
※比較労働対象者とは
①職務内容、職務内容・配置の変更の範囲が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者
② ①がいない場合は職務内容が同一の通常の労働者
③ ①②がいない場合にはこれらに準ずる労働者

ア.派遣労働者を協定対象者に限定しない場合
①職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、雇用形態
②比較対象者の選定理由
③各待遇の内容(昇給、賞与その他主な待遇がない場合にはその旨)
④各待遇の性質・目的
⑤各待遇決定に当たって考慮したもの
※職務内容とは業務の内容+責任の程度

イ.派遣労働者を協定対象者に限定する場合
①教育訓練の内容(教育訓練がない場合はその旨)
②給食施設、休憩室、更衣室の内容(ない場合はその旨)

<派遣先の責務>
■労働者派遣契約の料金の配慮
派遣元事業主が派遣労働者の均等・均衡待遇規定を遵守できるよう、派遣先、派遣先になろうとする者に対する労働者派遣契約の料金額について配慮義務

派遣先と派遣元事業主との間の交渉力の差によって派遣料金が不当にさえられ抑えられることにより、派遣労働者の均等・均衡待遇が実現しないことのないよう、派遣先に対して派遣料金額について配慮義務を新設した。
※義務:結果が求められるもの
措置義務:求めがあった場合に確認後実施するもの
配慮義務:結果までは求められないが、過程(プロセス)が求められる
努力義務:任意の協力とされる

その他、派遣先事業主に対しての義務等
a.派遣先労働者の待遇に関する情報提供を義務化
b.派遣料金の額について、派遣元事業主がいずれかの方式を順守できるよう配慮義務を創設
c.教育訓練、福利厚生施設の利用、就業環境の整備などを努力義務から配慮義務へ強化

(2)派遣労働者の均等・均衡待遇の確保

◇派遣元事業主に対し派遣労働者と派遣先労働者との間の不合理な待遇差を禁止
<比較する待遇>
派遣先の通常の労働者の待遇(基本給、賞与、その他の待遇すべて)
<比較方法>
待遇ごとに、職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質・目的に照らして適切なものを考慮

◇派遣労働者については派遣先の通常の労働者に比して不利な待遇を禁止
<対象となる派遣労働者>
派遣先の通常の労働者と、
①職務内容が同一、かつ
②職務内容、職務内容・配置の変更の範囲が派遣の全期間中同一と見込まれる者

<比較する待遇>
基本給、賞与、その他の待遇すべて

<比較する者>
比較する待遇に対応する派遣先の通常の労働者

◇派遣先の通常の労働者とは
・社会通念上に従い、「通常」の概念については、就業形態が多様化している中で、ケースに応じて個別に判断すべきもの。
・その業務に従事する者の中に正規型の労働者がいる場合には、当該正規型の労働者である。
・いない場合には、基幹的に従事するフルタイム労働者が「通常の労働者」になる

◇正規型労働者とは

・ 社会通念上に従い、※雇用形態、賃金形態等を総合的に勘案して判断する。
※労働契約の期間の定めがなく(無期雇用)、長期雇用を前提とした待遇を受けるものであるか、賃金の主たる部分の支給形態、賞与、退職金、定期的な昇給または昇格の有無を勘案する。

 

(3)労使協定による派遣労働者の待遇の確保

◇派遣労働者の待遇(派遣先での教育訓練、給食施設・休憩室・更衣室の利用除く)について労働者の過半数代表との書面による労使協定締結

<協定内容>
①協定適用の派遣労働者の範囲(範囲を一部に限定する場合にはその理由、一の労働契約期間中に派遣先の変更を理由に適用を変更しないこと)
②次の要件に該当する賃金決定
・派遣先等の地域において派遣労働者と同種の業務に従事する一般労働者で、派遣労働者と同程度の能力、経験を有する者の平均的賃金額と同等以上
・職務内容、成果、意欲、能力、経験その他の就業実態(職務内容・成果等)の向上があった場合に賃金が改善されるものであること(職務関連賃金以外の通勤手当等の賃金除く)
③職務内容・成果等を公正に評価し賃金を決定すること
④協定対象派遣労働者の賃金以外の待遇が派遣先の通常の労働者と不合理な相違が生じないこと
⑤協定対象派遣労働者に段階的・体系的な教育訓練を実施すること
⑥有効期間(終了後3年間の保存義務)

※派遣先での教育訓練や福利厚生施設の利用は協定の対象外となる

(4)派遣労働者の待遇改善方法の比較

均等・均衡待遇方式及び労使協定決定方式のメリット、デメリットは以下のように要約できる。

均等・均衡待遇方式 労使協定決定方式
メリット ◆納得感あり
実際の就業場所にいる派遣先労働者との均等・均衡待遇が図られる
⇒派遣元が中手企業の場合が想定
派遣先と派遣元の賃金格差が労使協定方式よりも小さい
◆賃金水準の安定化等
⇒派遣元が大手企業の場合が想定
そもそも派遣元の賃金水準が高い
デメリット ◆不安定な賃金水準
派遣先の賃金水準に合わせ賃金が変動し不安定
◆キャリア形成との不整合
賃金水準のいい大企業へ希望が集中しキャリアアップのための配置困難化
◆一定水準の賃金の決定
賃金は同種業務に従事する労働者の平均的な賃金額以上
◆教育訓練・福利厚生
派遣先における教育訓練・福利厚生施設の利用等は協定の対象外とし、派遣先の義務等とする

(5) 派遣労働者の待遇改善方法のイメージ

派遣先均等・均衡待遇方式 労使協定決定方式
①比較対象労働者の待遇情報提供(派遣先)
※派遣先から提供された情報を派遣元が利用する場合、目的は均等・均衡待遇の確保等の目的の範囲に限られ、秘密保持義務の対象となる。
①労使協定の締結(派遣元)
②労使協定の周知(派遣元)
労働者に対する周知/行政への報告
②派遣労働者の待遇の検討・決定(派遣元) ③比較対象労働者の待遇情報提供(派遣先)
※第40条第2項の教育訓練、第40条第3項の福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)に限る。
③派遣料金の交渉(派遣先は派遣料金の配慮) ④派遣料金の交渉(派遣先は派遣料金の配慮)
④派遣契約の締結(派遣元・派遣先) ⑤労働者派遣契約の締結(派遣元・派遣先)
⑤派遣労働者に対する説明(派遣元)
雇入れ時:待遇情報の明示・説明
派遣時:待遇情報の明示・説明/就業条件の明示
⑥派遣労働者に対する説明(派遣元)
雇入れ時:待遇情報の明示・説明
派遣時:待遇情報の明示・説明/就業条件の明示

(6) その他の労働者派遣法改正点

①派遣料金に関する配慮義務
●派遣先は、派遣元事業主がいずれかの方式で派遣労働者の待遇を確保
できるよう、労働者派遣契約に関する料金の額について、配慮義務を創設。
●派遣料金に関する配慮は、契約締結時だけでなく、締結又は更新後も必要。

②派遣先における施設の利用
●派遣先から派遣労働者に対して、省令で定められる以下3施設の利用の
機会の提供を義務化(現行法では配慮義務)。
給食施設、休憩室、更衣室
●派遣先から派遣労働者に対して、派遣先に雇用される労働者が通常利用している
施設の利用に関する便宜の供与等必要な措置を努力義務から配慮義務に強化。

<指針で定められる施設>
派遣先は、その指揮命令の下に労働させている派遣労働者について、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、派遣先が設置及び運営し、その雇用する労働者が通常利用している物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設等の施設の利用に関する便宜を図るように配慮しなければならないこと。

③労働者派遣契約の記載事項
労働者派遣契約の記載事項として、次の2点が定められる。
●派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(※)
●派遣労働者を派遣元
(※)派遣元管理台帳・派遣先管理台帳にも記載が必要。
労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否かの別

④情報提供に関する手続きについて
派遣先から派遣元事業主への待遇情報の提供方法については以下のとおりである。
●当該情報提供は書面の交付等により行わなければならない。
●派遣元事業主は当該書面等を、派遣先は当該書面等の写しを、当該労働者派遣契約
に基づく労働者派遣が終了した日から起算して3年が経過する日まで保存しなければ
ならない。

⑤変更時の情報提供について
比較対象労働者の情報に変更があった場合も、派遣先は情報提供が必要。
ただし、以下の通り、労働者派遣契約の終了の間際における軽微な変更に関しては不要。
●労働者派遣契約の期間が終了する日前1週間以内における変更であって、
●当該変更を踏まえて派遣労働者の待遇を変更しなくても、労働者派遣法第30条の3
の規定に違反しないものであり、かつ、
●当該変更の内容に関する情報の提供を要しないものとして労働者派遣契約で定めた
範囲を超えないもの

料金表

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保という考えの下、2020年4月施行改正労働者派遣法においても「同一労働同一賃金」推進が行われます。
「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事に就いている限り、正規雇用労働者であるか、非正規雇用労働者であるかを問わず、同一の賃金を支給するという考え方です。
政府はいわゆる働き方改革のひとつとして、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の「不合理な待遇差を解消」し、多様な働き方を選択できる社会にすることを目指しています。
「同一労働同一賃金」の導入は、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の「不合理な待遇差の解消」を目指すものであるので、近年久々の大型法改正といえます。
上記のように派遣業の就業規則や給与規程の見直し、派遣労働者の評価制度の策定、各種の書式等の整備が急務となります。
企業規模を問わず、来年4月が到来すると一律に適用されます。
不合理な待遇差の是正が実施されない場合には、行政指導や行政処分につながることになるため、
対応を誤ると今後の派遣事業の運営に影響を及ぼすことになります。
弊所では、長年派遣業界に特化してきたことから経験を駆使して、以下のような規程や書式の作成・整備をご支援いたします。

費用 内容 特長 作成期間
説明会実施 100,000円~ 2020年4月改正派遣法及び派遣業における「同一労働同一賃金」についての説明会を実施します。 改正法での留意点や質疑応答に対応します。
診断 30,000円~ 現行の社内制度の運用をヒアリングし問題点を明確化します。 社内制度の運用を見直し、リスクを回避、業態に合わせて具体的な問題点や対応策をご提案します。 2 ~ 3 週間
基本パック 250,000円~ ①労使協定作成支援(「労使協定方式」を採用した場合)
②派遣労働者用就業規則の変更(「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」への対応)
③派遣労働者用賃金規程の変更(「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」への対応)
④労働者派遣個別契約(新法対応)
⑤労働条件通知書及び就業条件明示書(新法対応)
労使協定作成支援の他、既存の就業規則を新法対応用に見直し、修正をします。
新法対応の帳票書類にも対応いたします。
基本パックのご依頼の顧客様は診断報酬は受領しません。
2 ~ 3 ヶ月

 

投稿日:2019年5月27日 更新日:

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