都道府県別最低賃金の引き上げ
2023年度の都道府県ごとの最低賃金額が8月18日に出揃いました。
九州や東北、中国地方(Cランク)で大幅な引き上げが目立ち、24県で中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が示した目安額を超えたとのこと。
当初、国が想定した1002円を上回り、全国平均は1004円(4.47%)と、過去最大の引き上げ額となったことは驚きでもある。
地方ほど人材の流出と人手不足が深刻で、最低賃金を通じた賃上げの必要性が強まっている。
上場企業の春闘での賃上げ率は3.91%。
賃上げ額、賃上げ率ともに、1993年(平成5年)以来、30年ぶりの高水準だという。
中小企業を中心とした連合は、春闘で正社員の賃上げ率は平均3・58%、これも30年ぶりの高水準。
物価高、人手不足、世間相場も鑑みると高水準の賃上げは納得感があるものの、経営者から見ればいかがなものでしょうか。
フィリップス曲線による賃金上昇率の見通し
賃金変化率と失業率との対応関係を示したフィリップス曲線を眺めてみると、現状の失業率から計算する賃金上昇率は、2.5%~3.0%程度が妥当のように見える。
今般の賃上げが次年度以降も継続してなされるのか、今後も注目して見ていきたい。
<フィリップス曲線>
賃金変化率と失業率との対応関係を示した曲線。失業率が低下すると賃金は急速に上昇し、逆に失業率が上昇すると賃金は比較的緩やかに低下する。
1958年に英国の経済学者フィリップスが発表。