2021年の転職者数の減少と労働市場の動向
2021年の転職者数は前年より31万人減少し290万人
令和4年版労働経済の分析(労働経済白書)を報告するとともに公表した。白書では、2021年の労働市場は人手不足の状況になる一方、転職者数は前年より31万人減少して290万人となり、2年連続で減少したことが示されています。
2021年の労働経済の推移と特徴
○ 2021年の我が国の労働市場では、緊急事態宣言等が発出された1月~9月の間、雇用情勢は一進一退の動きとなったが、10月以降は回復に向けた動きがみられた。
○ 雇用者数は、女性の正規雇用労働者数で堅調に増加したが、産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」などの対人サービス業では回復が弱い。
○ 感染拡大前から続く人手不足の状況が再びみられる中、転職者数は前年に続き大幅に減少するなど、労働市場の動きには停滞がみられる。
○ 労働時間は感染症の影響による前年の大幅減から持ち直して前年差プラスとなり、実質賃金は3年ぶりに前年比プラスとなった。
我が国の労働力需給の展望と労働移動の動向
○ 我が国の労働市場では、生産年齢人口や新規学卒者の減少による労働力供給の制約が見込まれる中、介護・福祉分野やIT分野など労働力需要の高まりが見込まれる分野があり、外部労働市場を通じた労働移動による労働力需給の調整が今後重要となる。
○ 我が国の転職入職率は近年一般労働者では横ばいであり、「情報通信業」や「医療、福祉」への労働移動が活発になっている傾向はみられない。
○ 労働移動の活発化は、全要素生産性(TFP)や労働生産性の上昇を通じて経済成長や賃金の増加にもつながる可能性。
さいごに
「医療」や「介護」など、感染拡大下においても業務の継続が不可欠な分野で働く方々が意欲を持ち充実した形で働き続けるために、感染防止対策、人員体制の強化、柔軟な働き方の実施などの取り組みが重要であるとのことです。