労働条件・環境

106万円の壁撤廃 厚労省の要件見直しで何が変わる?

「106万円の壁」撤廃へ 厚生年金の対象拡大 厚労省が調整 週20時間以上に原則適用
(2024年11月9日、日本経済新聞より引用)

上記のように全国紙でも、社会保険の適用拡大についての要件見直しが報道されています。

厚生労働省は、2025年に予定されている5年ごとの年金制度改定に向けて、「106万円の壁」を生じさせているパート労働者の厚生年金適用要件を見直す方針です。月額賃金8万8,000円以上という基準を撤廃する方向で調整を進めています。この月額賃金は、年収換算で約106万円に相当します。

「106万円の壁」を撤廃した場合、新たに約200万人が厚生年金の加入対象となる見込みです。

「年収の壁」とは?

「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する境目となる年収額を指します。この壁により、多くの労働者が負担を避けるために働く時間を控える状況が生じています。

例えば、年収106万円は、勤め先の企業規模などの条件により、パート労働者が健康保険や厚生年金保険に加入しなければならない水準です。加入義務が発生すると、年間で約15万円の負担が増加します。そのため、手取り収入を増やすには、年収が約125万円に達するまで働く必要があるとされています。

現行制度の課題

現在の制度では、配偶者の扶養内で働くパート労働者が厚生年金に加入するために、以下の条件を満たす必要があります。

  • 週20時間以上働くこと
  • 月額賃金が8万8,000円を超えること
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生でないこと

しかし、最低賃金の引き上げが進んだ結果、週20時間以上の労働時間要件と月額賃金8.8万円以上の要件が重複しており、この両
要件を維持する意義が薄れてきたと厚労省は説明しています。このため、月額賃金要件の撤廃が検討されています。

制度変更への期待と課題

月額賃金要件を撤廃することで、最低賃金の引き上げに伴う労働時間調整の影響が軽減される可能性があります。しかし、週20時間以上の労働時間要件は依然として残るため、時給が上昇しても労働時間を増やさないという行動は引き続き発生すると考えられます。

このように「労働時間の壁」が残るため、今回の改正だけでは、根本的な問題解決には至らない可能性が指摘されています。

今後の展望

厚労省は、年末までに具体的な案をまとめ、2025年の通常国会で改正法案を提出する予定です。一方、政府は全国平均の時給をさらに引き上げる方針を示しており、多くの野党も時給1,500円までの引き上げを提唱しています。

このような状況を踏まえると、「年収の壁」だけでなく、「労働時間の壁」への対策も重要です。制度変更を検討する際には、これ
らの複雑な課題を総合的に解決する視点が求められるでしょう。

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