労働条件・環境

社内での茶髪禁止令の大号令はいかに

●従業員の身だしなみを規制することはできる?

まず、ファッションや身だしなみには流行があり、憲法にも
「表現の自由」が保障されています(21条)。

これにより、いかなる格好をしようとそれも表現の自由である
という主張も考えられます。

しかし、これはあくまでも一個人としての私生活上の自由であり、
労働契約の上において契約上の規制を受けることになります。

すなわち、会社は、企業内秩序を維持・確保するために、
従業員の身だしなみについて、制限の必要性がある場合は、
適正に規制することができます。

次に身だしなみに関する裁判例を紹介します。

少し長いので、判決の中の一部を取り上げました。

<株式会社東谷山家事件 福岡地裁 平9.12.25 労判732-53>

「一般に、企業は、企業内秩序を維持・確保するため、労働者の
動静を把握する必要に迫られる場合のあることは当然であり、
このような場合、企業としては労働者に必要な規制、指示、
命令等を行うことが許されているというべきである。

しかしながら、このようにいうことは、労働者が企業の
一般的支配に服することを意味するものではなく、
企業に与えられた秩序維持の権限は、自ずとその本質に伴う
限界があるといわなければならない。

特に、労働者の髪の色・型、容姿、服装などといった人格や
自由に関する事柄について、企業が企業秩序の維持を名目に
労働者の自由を制限しようとする場合、その制限行為は無制限に
許されるものではなく、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な
範囲内にとどまるというべく、具体的な制限行為の内容は、
制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を欠くことの
ないよう特段の配慮が要請されるものと解するのが相当である。」

以上のように、基本的には、企業の社会的秩序を維持するために
従業員の身だしなみを規制することは可能だということになります。

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