労働条件・環境

喫煙者は採用しない!は許される?

今やほとんどの公共の場や飲食店において、分煙・禁煙は
当たり前になっています。

そればかりか、職場においても禁煙はスタンダードとなり
つつあります。

それでは、企業が採用選考にあたり、
「喫煙者を採用しない」方針を明らかにして、採用の可否
を行うことはできるのでしょうか。

喫煙については、本人の健康を損なう恐れが高いことから、
禁煙外来で治療を受ける方も増えているようです。

一方で、「これだけはやめらない」という方も一定数いら
っしゃることでしょう。

●喫煙の自由はあるのか

喫煙の自由については、在監者(施設に収容され、身柄を
拘束されている人)に対する喫煙禁止の合憲性が争われた
事件において、

「喫煙の自由は憲法13条の保障する基本的人権の一に含ま
れるとしても、あらゆる時、所において保障されなければ
ならないものではない」と、

一定の制約があり得ることが示されています
(最高裁大法廷 昭45.9.16判決)。

喫煙については、本人ばかりでなく、受動喫煙による健康
被害の恐れもあり、問題視されています。

特に従業員50人未満の事業場では事業者による全面禁煙・
空間分煙の取組みが低い傾向にあります。

こうした状況を鑑みて、平成27年6月1日より、事業者は、
労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、
他人のたばこの煙を吸わされることをいう。以下同じ。)
を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切
な措置を講ずるよう努めるものとすることとして、努力義
務が課されることになりました
(労働安全衛生法第68条の2)。

社会情勢を踏まえても、不当な動機がない限り、喫煙者を
採用対象から除外すること自体、違法とはいえないでしょ
う。

もとより企業には、法令に反しない限り、原則として、採
用基準等に関する「採用の自由」が広く認められています。

最高裁も、ある人が特定の思想・信条をもつことを理由と
して企業がその人を採用しないことを、当然に違法とする
ことはできない
(三菱樹脂事件最高裁大法廷 昭48.12.12判決)としてい
ることから、喫煙者を採用しないとうことも、採用の自由
として認められるといえるでしょう。

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