労働者派遣・請負

派遣法第30条の4第1項 労使協定方式でのよくある間違い

派遣事業を行っている、派遣元事業主には派遣社員の待遇を向上させるために、「均等均衡方式」「労使協定方式」の何れかを選択し運用しなければなりません。

労使協定方式でよくありそうな間違いを記しますので、ご参考ください。

どの能力・経験調整指数を用いて一般賃金額を算出しているか、記載がない

能力・経験調整指数としては、次の何れかを用いることが必須です。

賃金構造基本統計調査: 厚生労働省が実施する調査で、各職種の賃金水準が詳細に掲載されています。
職業安定業務統計: ハローワークの求人・求職情報を集計した統計で、各職種の賃金水準の動向が把握できます。

労使協定に「別表」とあるが、その別表が添付されていない

「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」は、次の各号に掲げる条件を満たす別表1に、対象従業員が勤務する派遣先の事業所所在地に対応する別表2の地域指数を乗じたものとする。

端数処理の方法が誤っている

1円未満の端数が生じた際、この端数は切り上げることが必要。

例:
1,253円(別添1又は別添2)×0.922(地域指数)=1,156円(1155.266)

1,156円×1.06(一般退職金)=1,226円(1225.36)

通勤手当などの手当や評価方法について「就業規則(賃金規程)による」等と記載されているが、この就業規則などが事業報告の提出時に添付されていない

以下のような協定を締結している場合は規則等の添付が必要となります。

就業規則第〇条から第〇条までの規定を準用する。

退職金制度を選択しているが、一般退職金と比較していない(単に「退職金の支給は退職金規程による」とのみ記載など)

選択肢1 退職金制度に基づいて退職金を支給する方法(退職金制度の方法)

選択肢2 退職金の費用を毎月の賃金等で前払いする方法(退職金前払いの方法)

選択肢3 中小企業退職金共済制度や確定拠出年金などに加入する方法(中小企業退職金共済制度などへの加入の方法)

公正な評価規定がない/賃金を改善する規定がない

派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力または経験などを公正に評価し、その向上があった場合に賃金が改善されるものでなければなりません。

評価規定は様々なものが考えられますが、公正さを担保する工夫が必要です。

(労働者派遣法第30条の4第1項労使協定書のイメージ)

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