もう待ったなしの「労働契約申し込みみなし制度」が今年平成27年10月1日より施行されます。
「みなし制度」が適用されれば、派遣先が求めるスキルや知識、経験をもっていない派遣労働者であっても、派遣労働者が直接雇用を望んだ場合、派遣先は派遣労働者を直接雇用しなければなりません。
他にも、直接雇用により、これまで発生していなかった様々なコストが生じることから、仮に「違法派遣」に巻き込まれていた多数の派遣労働者が一斉に派遣先への直接雇用を望んだ場合、最悪のケースでは派遣先は派遣労働者の直接雇用により経営を揺るがすほどのコスト負担を強いられることもありえます。
「違法派遣」を是正せず放置していると、派遣労働者が派遣先への直接雇用を望んだ場合、派遣元は派遣労働者を手放さざるを得なくなります。
例えば、派遣元と派遣先が派遣受入期間の制限を超えていることをわかっていながら、派遣元が優秀な正社員を派遣先に送り込んでいたとします。
その派遣労働者が派遣先に対して直接雇用を望んだ時点で、 派遣元は自らの意向に依らず、優秀な正社員を手放さなければなりません。
派遣元は優秀な人材を失うことになる上、発注者である派遣先との取引が細くなることから、派遣元の規模によっては経営に大きな打撃を受けることになります。
また、近年厳しく対処する傾向にあるため、是正指導だけで終わらずに改善命令や業務停止、許可取消といった行政処分を受ける可能性も十分あります。
なお、派遣先が、上記違法状態に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかった(善意無過失)場合は、労働契約申し込みのみなし制度には該当しません。