同一労働同一賃金の推進と派遣事業者としての義務
派遣事業を行うには、同一労働同一賃金を推進することは周知されているところです。
派遣先均等均衡・待遇または労使協定方式の何れかを選択することが義務付けられており、労使協定方式を選択する派遣元は厚労省のデータによると88%にも達するといいます。
ここで労使協定方式を選択している派遣元において、留意しておかなければならない点を記します。
労使協定方式について、上記の同一労働同一賃金ガイドラインでは、下記の記載がなされている(ガイドライン引用)。
協定対象派遣労働者の待遇に関して、原則となる考え方及び具体例は次のとおりである。
賃金に関する原則と具体例
労働者派遣法第30条の4第1項第2号イにおいて、協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法については、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものでなければならないこととされている。
また、同号ロにおいて、その賃金の決定の方法は、協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の 成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものでなければならないこととされている。
さらに、同項第3号において、派遣元事業主は、この方法により賃金を決定するに当たっては 、協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定しなければならないこととされている。
公正な評価制度の必要性
これらを勘案すると派遣元において、社内で「公正な評価制度」を運用しなければならないことがわかる筈です。
しなしながら、派遣元でいわゆる「人事考課表」「勤務評価シート」といった査定表を作成し、賃金の改定作業を行っている企業は多くないと思われ、留意しなければなりません。