労働者派遣・請負

派遣会社はマージン率の高い搾取業者と噂されるが

派遣業界のマージンとその内訳

派遣会社は派遣社員の賃金を安くし、マージンを多く取っており搾取していると噂されています。

派遣会社によっても派遣している業種によってもマージン率は異なり、内訳の割合にも差がありますが、平均はどのくらいなのでしょうか。

また、他の業種と比較して派遣業のマージン率はどのようになっているのか調べてみました。

マージン率=(派遣料金総額の平均ー派遣労働者の賃金)÷派遣料金総額の平均×100

厚生労働省の事業報告書に掲載されていた派遣社員の平均賃金(8時間換算)の15,234円、平均派遣料金は23,629円を利用して計算してみると、マージン率は35.5%となります。

注)派遣料金は、消費税を含む額の記載である。

出典:厚生労働省
「労働者派遣事業報告書の集計結果」

マージンの全てが派遣会社の利益になるわけではなく、事業経費が発生します。

その内訳は次の通りとなります。

1:派遣社員に関わる諸経費
2:有給休暇の費用
3:求人広告の宣伝費用
4:派遣会社の事業運営費
5:派遣会社の利益

営業利益は売上対比1~2%ほどのようです。

他業種との比較

日本標準産業分類:大分類 粗利率
建設業 22.48%
製造業 20.58%
情報通信業 46.79%
運輸業・郵便業 24.43%
卸売業 15.98%
小売業 29.82%
学術研究、専門・技術サービス業 52.66%
宿泊業・飲食サービス業 61.18%
サービス業(他に分類されないもの) 42.36%

出典:中小企業実態基本調査 令和3年確報

社会保険料は年々上昇し、更に派遣社員のキャリア形成のための教育訓練費用が発生するため、他の業種と比較しても営業利益率は決して高い訳ではないということがわかります。

派遣会社=暴利会社というわけではないのは事実です。

この数字が示しているように、派遣会社は手間のかかる薄利の業種といえます。

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