業務上の横領ということをしばしば耳にすることがあります。
入社したての頃は仕事を覚えることに必死なのでしょうが、
慣れてきた頃に間が指すのか、本来の性が芽生えるのか
定かではありませんが、いつの時代になってもこの手の問題
が発生します。
当該従業員の両親が労働契約における、
A身元保証人である場合
B身元保証人でない場合
に分けて一考してみたいと思います。
●身元保証人がいる場合
身元保証契約は労働契約に伴って労働者が不正行為などで
使用者に損害を与えたときに、第三者が使用者にその損害を
補償する契約です。
身元保証契約期間中に、労働者が会社の金品を横領して
行方が分からなくなった時などは、会社は身元保証人に
損害賠償を請求できます。
この点、身元保証人の責任を妥当な限度に抑えるため、
「身元保証ニ関スル法律」が制定されていますので、
当該法律に反しない範囲について、従業員の両親は
身元保証人としての返済義務を負うことになります。
ここで、会社側は「刑事告訴をする」と伝えて返済を迫って
いる訳ですが、そもそも会社は業務上横領の被害者として
告訴権を有するのです。
つまり、会社側は返済義務者たる両親に対し当然の主張を
しているのであって、特に公序良俗に反する主張ではない
といえます。
したがって、Aの場合に「返済をしなければ刑事告訴する旨」
を伝えることについて、特に問題はないと考えられます。