最低賃金を下回ってしまう
近年では、「最賃割れ」と言うと、アルバイトやパートタイム労働者が主な対象とされていましたが、最低賃金の継続的な引き上げに伴い、高卒新入社員の初任給が最低賃金を下回るという現象が顕著になってきています。
特に中小企業においては、月平均の所定労働時間が173時間など長時間になることが多く、この条件下で最低賃金が1,055円の場合、月給は182,515円に達します。
さらに、政府は2030年代前半を目途に、全国平均の最低賃金を1,500円に引き上げる方針を掲げています。
この方針が進展すれば、毎年50円程度の賃上げが見込まれ、月平均の173時間労働で試算すると、月額で約8,650円の賃金上昇が予測されます。
このような状況では、若手社員の賃金が均一化されることで、給与体系のフラット化が進み、社員の間に不満が広がる可能性が高まり、離職率の増加が懸念されます。
賃金上昇に対応すること
そのため、賃金カーブの見直しは避けられない課題となりますが、それ以前に、企業がこうした賃金上昇に対応できるだけの収益性や生産性を確保することが最も重要です。
これからの時代、人事部門は単に人材管理を行うだけでなく、経営全体に対する提言や戦略的な貢献を強く求められる局面に立っています。