「偽装出向」と呼ばれるものが、巷で拡がりつつあります。
どのようなものが「偽装出向」とみなされる可能性が高いのでしょうか。
労働者を送り出す会社と労働者の間、受け入れ会社と労働者の間、双方に雇用関係が生じるタイプの人材スキームは、労働者供給事業の一種とみなされます。
つまり、労働者供給事業とは、「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、派遣を含まないもの」と規定されています(職業安定法第4条第6項)。
ただし、「供給契約とは契約の形式をいうものではなく、実態によって判断」するのが原則です(労働者供給事業業務取扱要領)。
出向契約という名称で契約を結んでも、供給事業に該当するのです。
原則として、労働者供給事業は、労働組合が許可を受け無料で行うほかは禁止されています(職業安定法第44条、第45条)。
しかし、「業として行わない」限り、違法性はありません。
次のような目的で出向を実施している場合、社会通念上、業として行っていないと判断されます。
①関係会社で雇用機会を確保するため
②経営指導や技術指導のため
③人材開発の一環として
④企業グループ内の人事交流の一環として
「営利目的か否か」は直接の判断基準ではありません(業務取扱要領)。
しかし、派遣契約を出向契約に切り替え、以前と同様に人材ビジネス会社にコミッションを落とす形でスキームを組めば、出向の目的は①~④のいずれにも該当しないこととなりますのでご注意を!