くらし・経済

外国人労働者に関する厚生労働省調査レポート

初の実態調査:背景と目的

厚生労働省が日本で働く外国人についての調査を初めて実施し、その結果を公表しています。

「令和5年外国人雇用実態調査」と名付けられたこの調査は、外国人労働者を雇用する事業所での雇用状況や労働環境を明らかにすることを目的としています。

具体的には、外国人労働者の雇用形態や賃金等の雇用管理状況、事業所の外国人労働者の状況、入職経路、前職に関する事項などを産業別、在留資格別に調査しました。

2023年9月30日現在の状況について、同年10月から11月にかけて約3,500の事業所とそこで働く外国人約1万1,000人から回答を得ています。

事業者側の雇用理由と直面する課題

調査結果によると、事業者が外国人を雇用する最大の理由は次の通り。

  • 労働力不足の解消・緩和のため:64.8%
  • 日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待:56.8%
  • 事業所の国際化、多様性の向上を図るため:18.5%
  • 日本人にはない知識、技術の活用を期待:16.5%

一方で、外国人雇用における課題としては、コミュニケーション面の問題が最も多く指摘されました。

  • 日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい:44.8%
  • 在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑:25.4%
  • 在留資格によっては在留期間の上限がある:22.2%
  • 文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブル:19.6%

労働者側が直面するトラブルと入職経路

労働者側への調査では、現在の仕事での困りごとやトラブルについて質問があり、82.5%が「トラブルなし」と回答した一方で、14.4%が「トラブルあり」と回答しています。

トラブルの内容は、次の通り。

  • 紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった:19.6%
  • トラブルや困ったことの相談先がわからなかった:16.0%
  • 事前の説明以上に高い日本語能力が求められた:13.6%

さらに、日本以外から直接入職した労働者の約8割が、紹介会社や個人からの紹介を通じて現在の職場に就いていることも明らかになっています。

人手不足と外国人雇用の今後の展望

帝国データバンクの調査によると、2024年度上半期(4-9月)の「人手不足倒産」は163件に達しており、一時期より落ち着いているものの依然として人手不足感が高い状況が続いています。

特に小規模事業者を中心に、今後も人手不足による倒産が続くと予想されています。

このような状況の中、外国人労働者の雇用は増加傾向にありますが、一定数の事業者と労働者がトラブルを経験していることも事実です。

トラブルを最小限に抑えるためには、まず事業者側が就労可能な在留資格を持つ外国人を適切に雇用することが重要であり、在留カードやパスポートによる身元確認と就労可能なビザの確認が不可欠です。

また、労働基準法第3条に基づき、国籍などを理由とした差別的扱いを禁止し、適切な労働環境を整備することも求められています。

外国人労働者が困った際の相談窓口を設けるなど、サポート体制の充実も重要な課題となっています。

まとめ

この調査結果から見えてくるのは、日本の労働市場が急速に国際化している一方で、その受け入れ体制にはまだ多くの課題があるということだと思います。

特に注目すべきは、事業者の多くが「労働力不足の解消」を主な理由として外国人を雇用している点です。

これは日本の人口減少と高齢化による構造的な問題に対応するための緊急措置的な側面が強いように感じますが、同時に半数以上が「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待」していることから、単なる人手不足対策だけでなく、能力や技術を評価する姿勢も見られることは前向きな変化だと感じます。

一方で、コミュニケーションの問題や在留資格の複雑さなど、制度面での障壁がまだ大きいことも明らかになっており、特に労働者側から「トラブルの相談先がわからない」という声が多いことは、支援体制の不足を示していると感じます。

ということは、外国人籍の管理業務がおざなりになっていることが伺えるので、管理業務として雇用先の企業との共存が可能であるともいえます。

今後の日本社会において外国人籍労働者は欠かせない存在になると考えられますが、単に労働力として受け入れるだけでなく、適切な環境整備やサポート体制の構築が急務だと思います。

この調査結果を基にして、外国人労働者ばかりでなく日本人労働者の処遇改善実現に向けた議論のきっかけになることを期待します。

参照:令和5年外国人雇用実態調査の結果を公表します(厚労省)

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