従業員から、口頭で直接「退職したい」と申し出があった場合
退職の意思表示は、口頭でも有効となるのでしょうか?
退職の意思表示は、民法の契約自由の原則により、
必ずしも書面によるものと義務付けられているわけではなく、
本人からの退職の申し出とこれに対する会社の承諾があれば、
合意による退職が成立します。
また、従業員の一方的な退職の申し出の場合も
その申し出が真意に基づくものであれば
書面による申し出でなくても退職は成立します。
民法では、契約の申込み・承諾・解約は
必ずしも書面で行うことを求めてはいません。
ある判例では、書面での退職願を提出しなければならない旨を
就業規則に定めている場合のみ、退職願が提出されない限り、
退職の意思表示の効力は生じないとした判決があります。
( S38.9.30横浜地裁「全日本検数協会事件」)
退職に関しては、トラブルとなるケースが多く
後々、退職の意思表示の撤回を申し出る可能性があります。
口頭で退職の意思表示がなされた後、書面での提出を求め
本人が書面での提出の求めに応じない場合は、以下の点に
留意してみてはいかがでしょうか。
退職の申し出がなされた日に退職の意思表示がなされた
ものとして処理しても差し支えありませんが、
その場合、会社からご本人へ退職を承諾した旨の
通知をすると良いと考えられます。