労使協定方式における派遣社員の賃金基準と支給方法
労使協定方式においては、派遣元が派遣社員に支給すべき賃金の総額に関して、厚生労働省が定めた基準を遵守する必要があります。これには、「基本給・賞与・手当等」部分、「通勤手当」部分、そして「退職金」部分が含まれます。各部分に関する賃金基準を以下に詳しく説明します。
1. 賃金の最低基準額
賃金の最低基準額は、以下の3つの部分に分けて計算されます。
- 「基本給・賞与・手当等」部分の基準額
- 「通勤手当」部分の基準額
- 「退職金」部分の基準額
これらの部分の基準を満たす賃金を、労使協定で定める必要があります。
2. 「基本給・賞与・手当等」部分の基準額
基本給・賞与・手当等の基準額は、次の計算式に基づいて求めます。
「基本給・賞与・手当等」部分の基準値=(職種別の時給額の基準値×経験年数による調整指数)×地域指数
基準値となる参考資料
参考1:平成30年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)
参考2:職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした基本給・賞与等の額(時給換算)
参考3:平成30年度職業安定業務統計による地域指数
調整項目
- 経験年数による調整指数:派遣社員の経験年数に基づいた調整
- 地域指数:派遣先の所在地による地域差を考慮
これにより、派遣社員が担う業務内容とその地域に応じた賃金が決定されます。
3. 「通勤手当」部分の基準額
通勤手当の支給方法については、以下のいずれかを選択することができます。
- 実費支給:派遣社員が派遣先への通勤にかかる交通費実費を支給。
- 定額支給:通勤手当として1時間あたり72円を支給。
4. 「退職金」部分の基準額
退職金に関しても、次のいずれかの方法で基準額が設定されます。
- 派遣元による退職金制度を設け、実施する方法。
- 「基本給・賞与・手当等」部分の基準値の6%を退職金として支給。
このように、派遣元がどのような退職金制度を設けるかによって、退職金の支給方法が異なります。
まとめ
労使協定方式における派遣社員の賃金設定は、基本給・賞与・手当等、通勤手当、退職金の3つの項目に基づき、厚生労働省が定める基準を遵守することが求められます。これにより、派遣社員に支払う賃金の総額が最低限の基準を満たすことを保証し、法令に準じた適正な賃金支払いを実現します。