就業規則の適用範囲が曖昧な場合のリスク
企業が正社員用の就業規則しか整備していない場合、有期契約労働者にもその就業規則が適用されることがあります。これは、労働基準法上、就業規則の適用範囲が明確に区分されていなければ、原則としてすべての労働者に適用されるとされているためです。たとえば、正社員や契約社員、パートタイマーなど複数の雇用形態が存在しても、就業規則が一つしかなければ、雇用契約書で個別に条件を定めていたとしても、就業規則の内容が優先されるケースが多くなります。
適用除外規定があっても生じる問題
正社員用の就業規則の適用範囲に「有期契約労働者は別に定める」といった除外規定を設けている場合でも、実際に有期契約労働者用の就業規則が存在しなければ、結局正社員用の規則が適用されてしまうことがあります。モデル就業規則や他社の規則を流用して作成した場合、「別に定める」と記載されているにもかかわらず、具体的な別規則が用意されていないケースは珍しくありません。
就業規則の不備がもたらす待遇面での影響
このような状況では、たとえば正社員用の就業規則に退職金や慶弔休暇、休職制度などの規定があり、有期契約労働者との雇用契約書に「退職金は支給しない」と記載していても、有期契約労働者用の就業規則がなければ、正社員用の規則が適用される可能性が高くなります。そのため、採用時に退職金がないことを説明していても、後から有期契約労働者が「就業規則に基づき支給されるはずだ」と主張するリスクがあります。これは退職金だけでなく、慶弔休暇や休職などの福利厚生についても同様であり、企業側が意図しない待遇差やトラブルの原因となり得ます。
有期契約労働者用の就業規則整備の重要性
こうしたトラブルを未然に防ぐためには、雇用形態ごとに適用範囲を明確にした上で、有期契約労働者専用の就業規則を別途作成しておくことが不可欠です。これにより、正社員と有期契約労働者の間で待遇やルールの混同を避け、雇用契約の透明性と法的安定性を確保することができます。企業は就業規則の整備を怠らず、自社の実態に即したルールを明文化することが、健全な労務管理の第一歩となります。
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