人事マネジメント

働きがいの重要性と企業におけるメリット

「働きがいがある」という状態は、企業と個人の信頼関係が築かれており、個人が自らの意思で前向きに仕事に取り組んでいる状態を指します。

「働きがい」は、言い換えれば「働き甲斐」とも表現でき、この「甲斐」には「○○する価値がある」という意味が含まれています。

つまり、働き甲斐の有無は「その企業で働く価値があるかどうか」にも関連しています。

この「価値」の基準は、個々の志向性や価値観に大きく依存するため、どの要素が直接的に働き甲斐に繋がるかは一概には言えません。

外務省によると、SDGs(持続可能な開発目標)は、「2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標」とされています。この目標は、17のゴールと169のターゲットで構成されています。

その中で、「働き甲斐」にも触れられており、8番目の目標として「働き甲斐も経済成長も」を掲げています。このゴールの一つに、「2030年までに、若者や障害者、男性・女性すべての人々が働きがいのある人間らしい仕事を持ち、同一の仕事には同じ賃金が支払われるようにする」というものがあります。そのため、近年、「働きがい」に対する関心や施策が増加しています。

「働きがい」と「働きやすさ」の違い

「働きがい」と「働きやすさ」の違いは何でしょうか?

前述のように、「働きがい」は、個人が自らの意思で仕事に取り組んでいる状態を指します。その要因としては、社会貢献を感じることや、承認欲求が満たされることなどが挙げられ、これらはすべて個人の内的要因に基づいています。

一方、「働きやすさ」は、外的な要因—たとえば、施設の環境や福利厚生の充実度—に依存します。

厚生労働省の2014年の調査によると、「働きがい」の方が「働きやすさ」よりも高い場合、仕事への意欲や社員の定着率が向上する傾向が示されています。すなわち、「働きがい」が「働きやすさ」よりも重要であることが明らかです。

「働きがい」を高めるメリット

では、実際に「働きがい」を高めることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

厚生労働省の調査に基づけば、主に以下の2つのメリットが挙げられます。

1. 業績向上

「働きがい」を感じることで、従業員は「もっと貢献したい」「もっと活躍したい」という気持ちが芽生え、自発的に業務に取り組むようになります。このような高いモチベーションは、業務の生産性向上に繋がり、結果として業績向上をもたらします。

2. 人材定着率の向上

「今の会社でずっと働き続けたいか」という質問に対して、「働きがいがある」と答えた人々は、肯定的な意見が多く見受けられます。一方で、退職理由として最も多いのは「仕事が自分に合わなかった」というものです。

個々の動機付けやモチベーション向上施策を通じて、仕事内容に対する納得感や満足度を高めることで、「働きがい」を感じさせることができ、それが結果的に社員の定着率向上に繋がります。

企業は自社の現状や特性を踏まえ、SDGsを経営に適切かつ積極的に統合していくことが重要です。

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