労働・残業問題

中小企業にとって大打撃か?「割増賃金率の適用猶予廃止」

平成22年の労働基準法改正により、1か月あたり60時間を超える時間外労働に対しては、5割の割増率で計算した割増賃金の支払いが必要とされています。しかし、中小企業に対しては労働基準法138条により猶予が与えられていました。

中小企業の猶予規定の廃止

この猶予規定は削除され、中小企業も60時間以上の時間外労働に対しては割増率が5割になることが決定しています。

中小事業主の定義

中小事業主とは、以下の条件を満たす者を指します。

  • 資本金の額又は出資の総額が3億円以下(小売業・サービス業は5000万円以下、卸売業は1億円以下)
  • 常時使用する労働者の数が300人以下(小売業は50人以下、卸売業・サービス業は100人以下)

中小企業の対応策と問題点

中小企業としては、人件費を増やさずにパフォーマンスを維持するために以下の対応策を検討する必要があります。

  1. 機械化による効率化の促進: ただし、生産コストが一時的に上がる可能性があります。
  2. 従業員にサービス残業を強いる: 労働基準監督署の監視が強化される可能性があります。
  3. 人件費が安い外国人労働者を雇う: 教育コストがかかるため、必ずしもコスト削減に直結しないことがあります。

コンプライアンス意識の重要性

企業に求められるコンプライアンス意識は年々高まっており、経営者には従業員を守りながら経営を行うことが求められます。今回の改正は平成31年4月施行予定であり、中小企業の経営者にはまだ猶予が与えられていますが、今後の課題となるでしょう。

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