労働・残業問題

「辞めた後に労災申請したい」と言われたら?

退職後に労災申請?企業として判断に迷うケース

従業員が在職中に病気やけがを負った場合、その原因が業務によるものなのか、企業としても慎重な判断が求められます。特に、退職後になって「実は過重労働が原因だった」と労災申請の意思を示された場合、対応に迷う企業担当者は少なくありません。

ある企業では、腰痛により休職していた従業員が、休職期間満了で退職した後、数か月経ってから「腰痛は勤務中の過重労働が原因だった」と主張し、労災の申請をしたいと申し出てきました。

しかし、当時の勤務状況を確認しても、特段長時間労働が続いていたとはいえず、同じ業務に従事していた他の従業員と比べても労働時間はむしろ短いものでした。また、業務上の大きな心理的負荷や責任があったとも考えにくい状況でした。

このようなケースにおいて、事業主として労災申請に必要な証明を行うべきかどうか、検討が必要です。

労災申請における事業主の証明義務とは

労災申請は、従業員が業務に起因する傷病に対して労働基準監督署に行う手続きです。この際、請求書の一部に事業主による証明欄が設けられており、通常は会社がそれに記載して提出することになります。

請求内容が会社としても事実と一致しているのであれば、証明に応じることに問題はありません。しかし、内容に明らかな齟齬があったり、会社側の安全配慮義務違反を問われかねない場合には、無理に証明を行う必要はありません。

このような場合には、会社としての見解をまとめた「事業主意見書」を作成し、証明を拒否する理由を明示した上で提出することが適切です。

労災申請は事業主証明がなくても可能

なお、労災保険の支給に関しては、最終的な判断を行うのは労働基準監督署であり、事業主の証明がなければ受理されないというものではありません。つまり、会社が証明を拒否した場合でも、労災申請そのものを妨げることにはなりません。

したがって、申請そのものを頭ごなしに否定するのではなく、事業主として証明できない理由を丁寧に説明しつつ、労災請求自体は本人が行えることを伝える対応が望ましいといえるでしょう。

その後、監督署からの事実確認や資料提供の依頼があった際には、誠実に対応し、必要な情報提供に応じることが事業主としての責任となります。

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