労働条件・環境

「男前だから許される」これでいいのか

「男前だから許される」

みなさんの周りにこのような人はいないで
しょうか。

「男前」というのは容姿もそうですし、仕
事の内容に関してもそうだと理解してもい
いでしょう。

「少々のミスなら許される」

「何をやっても許されるし、何もやらなく
ても許される」

賛否はもちろんあるでしょう。

ただ、結論としては「可愛い子は得」とい
うのは多少なりともあるようですし、「カ
ッコイイ」も同様です。

では、これが会社の場合で「仕事ができる
から許される」というのはどうでしょうか。

この件について判例がありますので紹介し
ます。

●上司に従わない社員

ある住宅販売の会社で、
「上司の指導に従わない」
「顧客からのクレームが多い」
などを理由として、社員が解雇されました。

そこで、その社員は「解雇に納得いかな
い!」として会社を訴えました。

上司の指導に従わないとか、顧客からのク
レームが多いとか、その時点でその社員の
言い分は認められづらいように感じる人も
いるかも知れません。

ただ、実はこの人は「仕事ができる」社員
でした。

同期で最も早く昇進し、何度も会社から表
彰を受けるほどの営業成績が優秀な社員だ
ったのです。

そこで、会社が解雇理由とした「勤務成績
または能率が不良で、就業に適しないと認
められたとき」には該当しないと主張した
のです。

確かに、たとえ態度が悪いにしても営業成
績が良いのであれば、仕事としての成果は
上げているわけです。

考え方によっては正しい主張と言えるかも
知れません。

では、その裁判の結果はどうなったのか?

●勤務態度不良の範囲はどこまで

会社が勝ちました。

ポイントは「勤務成績や能率の不良」をど
う捉えるかです。

この裁判では、「勤務成績や能率の不良」
は「勤務態度も含めた評価とするのが当然」
と認められたのです。

つまり、営業成績は良くても勤務態度が悪
いのは、この会社の解雇規定にあてはまる
と判断されたということです。

営業成績の良い社員が、「仕事ができるか
ら自分は許される」と考えて態度が悪かっ
たり、規則をしっかり守らないというご相
談は、私も結構いただきます。

そして、まわりもそれを「仕事ができるか
ら」と遠慮して注意できなかったりするこ
とが現実としては多かったりするのです。

中には、懲戒処分に該当するようなことが
あっても、「彼(彼女)の売上が下がるの
は困る」と厳しい処分に踏み切れない会社
もあります。

ただ、もしこのような状況があるのであれ
ば早急に改善するべきでしょう。

これでは、会社の規律を守れないからです。

会社内には営業成績も素晴らしく、かつ勤
務態度も良い社員もいるはずです。

その社員のモチベーションダウンや退職を
促進してしまうことにもなりかねません。

売上はもちろん会社にとって大切です。営
業であれば、それを評価されるのも当たり
前でしょう。

ただ、評価はその営業成績だけではなく
「勤務態度も含めたものとする」とすべき
です。

それが、会社のためだけではなく社員のた
めにもなるのです。

さて、みなさんの会社はいかがでしょうか。

【参照】
アーバンライフ住宅販売事件
神戸地決平成13.1.12
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/07702.html

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