大手企業を中心に求人数が増えてきて労働市場が良く
なってきました。
中小企業からの転職を考える人が増えてきて、企業側も
人材の引き抜き等を防止するための施策を考えなくては
いけません。
特に同業種の企業に転職をして「顧客」や「企業秘密」が
流出することを懸念する企業が増えています。
今回はこの「顧客」や「企業秘密」を守る為の「競業避止」
について取り上げてみたいと思います。
●競業避止とは
企業が営業上の秘密や技術上の秘密を守る為に、社員の
転職に関して制限を設けることを競業避止といいます。
企業防衛上、顧客名簿を含めた営業秘密をもって転職
したり独立されたりしては困ります。
一方、社員も生活があり、また職業選択の自由も存在し、
この両者の調整が競業避止の問題となります。
競業避止の特約を労働契約につけることは一定の範囲で
認められています。
では一定の範囲とはどの様な内容なのでしょうか。
●競業避止制限の範囲
判例をまとめると、同業種への転職や独立を行う制限に
ついて以下の様なポイントで判断をしています。
1.競合避止というのは無制限には許されてはならず、それを
必要とする合理的理由が存在し、その必要を満たす必要な
範囲内で合意がなされること
2.正当な手続を経ていること
これらを前提に
「合理的範囲を確定するに当たって、制限の期間・場所的
範囲・制限の対象となる職種の範囲・代償の有無」
について3点が検討すべきものとされています。
「企業の秘密保持を行う利益」
「労働者の転職・独立の不自由という不利益」
「独占の恐れや一般消費者の利害といった社会的利害」
といった3つの視点で慎重に検討をすることを要するとされて
います。
また「その業務が単純作業で有り、会社独自のノウハウが
ないもの」についてが競業避止の対象とはされないという
考え方です。
競業避止の期間は2年が一つの目安となります。
国家公務員の職務上の秘密保持や転職制限などの期間で
ある2年が影響していると言われています。