くらし・経済

「企業の寿命」はますます短命に

かつての企業寿命「30年」の時代

かつて、企業の寿命は30年といわれました。
企業寿命が提言されたのは、1980年代の某雑誌で、ひとつの企業が「繁栄を謳歌できる期間」を平均30年とされたことに起因します。

それから時を経て、ビジネスを取り巻く環境は大きく変わりました。

IoTとAIを軸とするIT革命は、既存の産業を破壊し、さまざまな業種の淘汰・再編を加速させています。

そんな時代にあって、「企業の寿命」は今後どのように移り変わっていくのでしょうか?

2017年倒産企業の平均寿命は23.5年

東京商工リサーチの調査によると、2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年であり、前年よりも0.6年低下しています。

倒産件数そのものは9年連続で前年を下回っているものの、「参入が容易な飲食業、高齢化を見越して設立された老人福祉・介護業などの業歴の浅いサービス業他の倒産増加により平均寿命を引き下げている。」といった報告がなされています。

なお、産業別では「製造業」の32.9年が最長、「金融・保険業」の16.4年が最短となっています。

老舗企業も安泰ではなく、老舗企業の倒産については、「過去の成功体験から抜け出せず新たな取組みに遅れたり、グローバル化や多様化するニーズのなかで新たな生産性向上への投資もできず、倒産に至るケースも多い」というのです。

実績のある企業といえども、時代の変化に対応する柔軟性や俊敏性がなければたちまち倒産してしまうことを意味しています。

もちろん、これらは今に始まったことではなく、今後は変化のスピードがかつてないほど加速し、多くの企業を窮地に追い込んでいくでしょうから、これからは日本を代表する大企業も、10年後、20年後に安泰である保証はありません。

変化のスピードが企業寿命を短縮

2000年代に入り本格化したグローバル経済やイノベーション経済により、ビジネスのサイクルは非常に短く、スピーディーになりました。莫大な利益を生んだビジネスモデルが、数年後には赤字に転落しているなんてケースも珍しくないのです。

例えば、かつてお家芸とまでいわれた日本の家電業界がここまでの苦境に陥るなど、10年前には誰も想像できなかったと思います。

こうした地殻変動は家電や自動車に限らず、あらゆる産業に起こり得るため、「企業の寿命はどんどん短くなっていく」という推測が成り立ちます。

これからは、30年以上にわたって繁栄を続ける企業は殆どなくなるかも知れません。

平均寿命は今後、20年は切ってくるでしょうから、一つの企業に勤め上げ、定年を迎えるというキャリアプランは成立しなくなると考えられるので、最低でも3社で勤務することが必要となります。

これからの企業は従来の業務に縛られず、常に時代のニーズに合ったビジネスモデルを模索していく必要があります。

-くらし・経済

© 2025 カン労務士事務所